ムジリ走る。 J1第7節 サンフレッチェ広島 VS ガンバ大阪

ビッグアーチ。半年ぶりくらいか。風が心地いい。

広島のフォーメーションがすごい。

     西川
 森崎和 中島 水本
ミキッチ 森崎浩 青山 森脇
    李  高萩
     佐藤

3バックに森崎入れてるのはサブに横竹や山岸いることからも、怪我人の遣り繰りだけじゃないだろう。意味があってやっている様子。
その答えになるかわからないけど、サンフレッチェのディフェンスが大変なことになっていた。

去年にも増してポジションがあるようでない。
ポジショニングについての共通理解はされていて、おなじみの5バックディフェンスなんだが、この試合では誰がどのポジションにいてもいいような感覚に見えた。
両サイドの森脇とミキッチはほとんど定位置だけど、それにしたって、その2人が上がったスペースはケアされている。
ディフェンス真ん中の中島青山水本森崎兄弟の5人は入れ替わりでスペースに動いてボールを繋ぐ。

なんとなくだけど、去年よりも無理に繋ごうとしてない感じもあった。
コンディションがいいから、相手陣でのプレスで競り勝てるということかもしれないし、李がトップにいることで、西川まで戻してフィードでもターゲットがいるからということか。

まあ森崎和と中島のキープ力とドリブルオーバーラップも今日は際立っていた。中島は上がったら獲られてもその場ですぐファーストディフェンスに入る。その間にディフェンスラインには誰かが入って5バックラインを整えてる。でガンバがサイドで詰まったら最終ラインまで戻るというのを徹底してた。

でこのゾーンのおかげでアドリアーノの走り込むスペースが消されて、二回くらいしかアドリアーノが1対1になるシーンがなかった。それでも決めるのがアドリアーノだから、運もあったと思う。
戦術でいくらでも個の能力に対応できることを体現してる。


でもって水本がどうなんだと思ってたら、予想以上に馴染んでいるというか、槙野まではいかないけど、攻撃にも絡んでシュートも打っていた。監督がいいのか水本の能力が高いのか、何にせよフィットしてる。そしてやはり代表クラスのディフェンス意識で、かなり際どいシーンもしっかり抑えていた。アドリアーノとの1対1でも一点は抑えていたから大したもん。

色々面白いんだけど、今日のムジリは語りたくなってしまう存在感。
走るムジリ。変な走り方のムジリ。パススピードとかタッチの正確さが絶妙なムジリ。
しなやかじゃなくて、とにかくそこ通すんかい!ってパスを二本ほど魅せられた。
味方も的も欺くような縦へのほんとの意味でキラーパス
ちょっとここまで一発のパスで局面変えられる人も最近いないというか。で、走るだけでスタンドからは走ってるよ!って声が上がるし。面白すぎる。

じゃあスタメンならどうなんだという気もするというか、どちらかというと、ツートップのトップ下とかが合いそうだし、もしかしたらムジリモードで広島の新しいフォーメーションができたら楽しそう。

サンフレッチェの勝ちは当然だろうなという試合。特にダイレクトでの相手の外し方とミドルパスの正確さが段違いで。ガンバで正確に蹴れてたのは遠藤くらい。ガンバの場合、こないだのACLと同じくほとんどダイレクトパスがない。チームとしてそういう意識付けはしてないんだろう。かつサンフレッチェ相手に走り負けてればなかなか突破口はないか。

でもガンバにも三点くらいは決めれるチャンスがあって、印象深いのは前半、遠藤が前にスペースがあるバイタルでシュートしなかったシーン。遠藤ならコースに打てるのに。
後半も遠藤からアドリアーノへのラストパスが弱くてディフェンスに足を伸ばされてしまってた。この辺正確にいかないくらい疲れてるんだなーと。

ちょっとコンディションの差がありすぎたか。でもスタートから宇佐美と佐々木が出てたらもっとガンバの時間帯を作れたと思う。
本当に加地と橋本がいないのは大きい。ここまでサイド攻撃が機能しないと相手は前を向いて守れるから楽だわ。
とにかく前半のガンバに感じたのは意外性のなさだった。

交替枠で森崎兄弟が変えられなかったのは、その充実ぶりを評価したからだと思う。ドリブルにパス精度にほんとにレベルが高い。
試合を見ながらこの2人、怪我がなかったら日本を代表する選手になってておかしくないよなあとしみじみ。
今からでもないとは言い切れないか。特に森崎和はトップ以外はどのポジションでもできるだろう。

今日のサンフレッチェは優勝を狙えるんじゃないかって思わせてくれた。毎年いつもつまづく期間があるけど、ムジリの加入でベンチの厚みも増した。
たぶんこのオールコートゾーンディフェンスが厳しくなる夏場が肝だろう。その時例えば今以上に引いてムジリの一発で前の2人がゴールを決めるような省エネで勝ち続けることが出来たら。

観客も18000人。常に20000人を呼べるサッカーをしていけば、選手の新陳代謝は激しいけど地味ーにビッグクラブ化していけるかも。鹿島みたいに海外行って帰ってくるパターンも可能になればいい。